第22章

樋口浅子は西原貴志の介添えで部屋に入り、周囲を見回した。それは洗練された寝室で、余計なものは何もなく、ただシンプルな家具が数点あるだけだった。

「先にこのバスローブに着替えなよ。服、びしょ濡れだから」西原貴志はゆったりとしたシャツを樋口浅子に手渡した。

樋口浅子はバスローブを受け取ったが、少し躊躇いを見せた。

西原貴志は彼女の躊躇いを察し、すぐに説明した。

「このバスローブは荘園が用意した新品だよ。着たことないから、安心して使って」

「うん……ありがとう、西原貴志」

西原貴志は苦笑いした。「僕たちの間で何のお礼だよ。まずは濡れた服を着替えてからにしよう」

樋口浅子は浴室に入り、...

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